小林楠奈

〔教授紹介〕人文社会科学部人間文化コース坂井正人先生にお話を伺いました!

教授紹介, 未分類 No Comment
Reading Time: < 1 minute

皆さんこんにちは!

今回YUM!は人文社会科学部5コースのうちのひとつである人間文化コース坂井正人先生に取材を行いました。

YUM!:先生の研究分野について教えてください。

坂井:主にアンデス考古学、特にナスカの地上絵について研究しています。

YUM!:その分野に進もうと思ったきっかけを教えてください

坂井:異なったモノの考え方をする人々について関心を持っています。ナスカの地上絵のような、われわれにとっては想像を絶するような、そして興味を惹かれるモノを通じてアンデス社会の人々の考え方、異文化に触れたくてアンデス研究を始めました。

 

YUM!:研究のやりがいや大変なことを教えてください。

坂井:ナスカの地上絵の研究に関しては、当初はこんなに時間がかかるとは思っていませんでした。地上絵は数が多く、広い範囲に分布しています。そこで地上絵の分布図を作成するために、人工衛星から撮影された画像を入手して、そこに写っている地上絵を抜き出す作業を実施しました。この作業には全面的に山形大学の学生たちに協力してもらいました。ところが作業量が膨大であるため、完成までに5年もかかってしまいました。その後、この分布図を利用して地上絵で現地調査を実施したところ、人工衛星画像には写っていない地上絵が次々と見つかったのです。地上絵の数が予想よりもずっと多く、絵のバリエーションも豊富でした。地上絵の大部分は直線や三角形、台形などの幾何学図形だと考えられてきましたが、山形大学の調査で動物の地上絵が大量に発見されました。それまで、有名なハチドリや蜘蛛、猿などの地上絵を含めても、30点くらいしか動物の地上絵は知られていませんでしたが、新たに190個もの動物や人間などの地上絵が見つかりました。その大部分は全長50メートル以下の小型の地上絵です。まだ見つかると思いますが、ナスカ台地は広大なので網羅的に歩いて調査することは難しいです。このように現地での調査は困難を極めます。しかし、調査中に知りたいことが次々と分かり、研究対象が増えていくことに研究のやりがいを感じています。

 

YUM!:研究の今後の展望について教えてください。

坂井:数年前から始めているのが、人工知能AIを使って地上絵を探すという取り組みです。人工衛星画像よりもさらに高解像度の航空写真を使って、その中から地上絵を探しています。人間の目で航空写真から地上絵を探すとなると、五年以上かかります。しかし、AIを使えばかなり早く探せるだろうと考えています。これを実証するために、日本IBMと共同で実験をおこなったところ、AIによって新たな地上絵を発見することができました。この実証実験の成果を受けて、現在、米国IBMのワトソン研究所と共同研究を実施しています。順調に研究が進んでいるので、成果を期待してください。

YUM!:先生の学生時代について教えてください。

坂井:学生の時に大学の先生にペルーへ連れて行ってもらいました。最初はペルーのことがよくわからないまま遺跡の発掘に参加しました。しかし、調査のために長期滞在した農村での生活を通じて、ペルーという異国のことを少しずつ理解していきました。電気も水道もない生活は大変でしたが、日本とは違うモノの考え方をする人達に囲まれて生活したのは楽しかったです。現在、異文化研究をしているのは、学生の時の経験の影響が大きいです。

 

YUM!:学生は坂井先生のもとで何を学べるのでしょうか。

坂井:私のもとで、学生は二つのことが学べます。一つはアンデス考古学で、もう一つは日本の現代社会に関する研究です。ペルーには山形大学ナスカ研究所があるので、ナスカに学生を連れて行き、学部生を対象とした授業を行ってきました。コロナが終われば、ナスカでの授業を再開したいと考えています。またアンデス考古学を学ぶために大学院に入った学生に対しては、ペルーで実施している現地調査に参加してもらい、現場で教育してきました。なお、私はもともと、呪術によって病気を治す人々を対象とした研究を日本国内でおこなってきました。そこで、日本社会に関心があり、山形市内で学生と一緒にフィールドワークを実施しています。現在取り組んでいるのが、山形市内の聖なる場所に関する研究です。市内の祠(ほこら)の分布調査をするとともに、そこで儀礼を行っている人たちを対象とする調査、市内にいる呪術者や彼らを頼っている人たちに関する調査などを実施してきました。こうした調査や授業を通じて、呪術や宗教が現代社会を生きる我々にとって、どのような意味があるのかについて学ぶことができます。

 

坂井正人先生から学生に向けてメッセージ↷

 

〔教員情報〕

坂井 正人 SAKAI Masato

所属コース:人間文化コース
メールアドレス:sakai@human.kj.yamagata-u.ac.jp
ホームページ:https://www-hs.yamagata-u.ac.jp/faculty/teacher/hc/teacher_31/

山形大学ナスカ研究所ホームページ:https://www.yamagata-u.ac.jp/nasca/index.html

専門領域:文化人類学、アンデス考古学
大学院担当:文化システム専攻 文化人類学

Related Posts

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


YUM(ヤム)!

私たちYUM!は山形大学の学生広報部です。大学の魅力を伝えるために活動しています。

↓取材依頼・入部希望など
なにかありましたらこちらからどうぞ!
yum_yamagatamagazine@yahoo.co.jp

サイト内検索

アーカイブ

twitter